稲盛和夫と日本航空

JALの話をする前に・・・
新生銀行が1400億円のの赤字計上という記事を目にした。新生銀行は創業10年になるが、7兆円もの公的資金を注入し、10年経っても企業としての適切な利益が確保できない事態はいかがなものか?この銀行の存在意義は???



JALが破綻し、稲盛和夫氏(御年78歳)が会長に就任してから、経営再建に関するニュースが取り上げられる機会が少なくなった。稲盛さんは京セラでのアメーバ経営が超有名。事業単位を最小化し、数字によって徹底管理する。数字をキッカケとした社員の当事者(経営者)意識を高める、この取り組みは広く評価されており、稲盛氏を慕う経営者らが集う盛和塾なるものもある。


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稲盛氏が会長就任後、最も困ったことが現場から数字が上がってこないことだそうだ。経営再建をしようにも正しい情報が集約しないため、その手腕が振るえないらしい。聞いた話では、盛和塾の面々がJAL幹部らを自らの会合に呼びつけ、経営指導に取り組み始めたのだとか・・・。



こんな様子のJALなんだけど。
半官半民の企業体が、叩き上げの経営者、稲盛和夫氏の言わんとしてること、やろうとしていることをどこまで理解し、実行に移せるのだろう?稲盛氏も78歳という御年で、その経営哲学が企業に定着するまで現役として活躍することができるだろうか?組織の末端まで、稲盛イズムが浸透するには相当の時間がかかると思う。その間、日本郵政の西川元社長のように政治家によって更迭されることもあるだろうし、冒頭で書いた新生銀行のような事態にもなりかねない。

今後、10年経っても適切な収益が上げれないような企業体で存続するのであれば、企業の存在意義を問わなければ行けないだろう。そのとき、国は英断をできるだろうか?ズルズルと公的資金を注入し続けて、生き延びさせても問題の抜本的解決にならない。現状、国家として維持したいエアラインなのであれば、それに準ずる第2、第3のエアラインの創業支援や企業の育成を行っていくことも視野に入れておかなくてはいけないのでは?JALANAという2大企業しかないために、国も選択肢がなくて困るんじゃないか!様々な航空ベンチャーが立ち上がれば、真に顧客ニーズを満たすベンチャーは10年もあれば、立派に育っていることだろう。

自民党時代の無策な空港行政のために煽りを食ったJALにはたいへん申し訳ないが、本当にたくさんの企業が市場に残りたくても退場を宣告されている。会社更生法を適応しても自力で再建している企業がどれだけいることか?これだけ厚待遇の中での再建を許されているのだから、JALの社員の皆さんには死にものぐるいで会社再建に臨んでほしい。

とりあえず、数字の読み書きくらいはできるようになれよ!
稲盛イズムをちゃんと継承すれば、経営者の視点で仕事できるだろうし、もっと面白くなるよ。

こんにちは。菅さん。

菅さんが民主党の代表に選ばれた。
自民党時代から続く、できレース的な首相の交代劇には、正直うんざりする。時代の変化とともにトップの選出方法も見直す時期にきてるかもね。日本のトップが民意で選べたのなら、今回は誰が首相になってただろう?



菅直人 http://ja.wikipedia.org/wiki/菅直人

個人的には印象の薄い政治家だったけど、結構いい仕事してんだね。民主党政権ができてから、目立った行動がなかったのは、今回の政局を予期していたのかもね。なかなかしたたかな人だ。さてさて、これからどんな政治手腕を見せてくれるのか、楽しみにしておこう。こんにちは。そして、よろしくね。菅さん。



小泉さん退任以後、この4年で5人目の首相。政治は明らかに「混乱」をしてる。

心理学者のB・W・タックマンという人がチームビルディングのプロセスモデルとして・・・
①Forming(チーム形成)
②Storming(混乱と対立)
③Norming(行動規範の確立)
④Performing(機能)
というモデルを提唱している。

僕は現在の「混乱」は日本を新たな局面に導くために大切な役割を担っていると考える。数年前から政治に関心を持つ人が増えたし、選挙でも投票率は徐々に上がってきている。「民意」という言葉が連呼されるようになったのもここ最近。「政局」に対立するのは「民意」ではなかろうか?この「政局」の混乱はどこまで高まり、その対立軸として「民意」は何を訴えるのか?今後の行く末は僕らに委ねられてると言っても過言ではないと思うよ。

僕たちは日本の混乱期を生きているけれど、確実に次の行動規範を創り出すプロセスを歩んでいる。この混乱が去った後、どんな世界が生まれているのか?楽しみで仕方ないわ!

さようなら。鳩山さん。

鳩山政権発足から8ヶ月・・・。あっという間でしたね。
こんな簡単に仕事を辞めるあなたにはサラリーマンは勤まらないことでしょう。残念!



さて、一国のトップが辞任する。企業の社長辞任とよく似ている。
今回、鳩山首相は辞意を表明したわけだから、自己都合による退職に当たるわけだ。口ではいろいろと引責辞任を臭わせる演説を行っていたが、自己都合退職を華々しく見せるパフォーマンスだよね。ってこういうのを政治家は何でやるんだろうか?一種の美徳なの?それとも慣習?

うん。でも、まあ、自己都合で退職するわけだから、任期を最後まで全うしたら得られる権利は、当然放棄したと思っていいんだよね。このあたりはマスコミの皆様、追求お願いしますね。世の常識というものを政治の世界にいる人にもしっかりと伝えてあげてくださいな。

ただ、一企業の社長がわずか8ヶ月で辞任に追い込まれる事態ってのはなかなかない。失敗を繰り返しながら、成功事例を積み重ねていくのが、どの世界の人間でも定石だろう。それすらも許されない首相というポストはそれだけ強大な権力であり、国を率いる責任は創造を絶するものがあるのだろう。まあまあ、過ぎ去ったことは良しとして、次どうするのかが大切だよね。民主党の皆さん、管さんが党首に立候補したそうですが、この8ヶ月間、何の仕事もしてない人を党首に選ぶなんてバカな真似はしないでね。良識ある判断をお願いしますよ。



鳩山さんが首相になって約半年、僕はよ〜く観察させてもらいました。

鳩山さんって良く言うと思想家。
ビジョナリーピープルなんだよ。彼は。彼の頭の中には彼なりの理想があって、とにかく理想の実現に向かって、頭の中で思考が回転しまくる。理想の妄想を連鎖的に起こすから、現実社会ではどこから手をつけていいのか分からない。だから、鳩山さんには理想を語り続けるしかない。1つずつ理想が現実に打ち破られていくとトーンが下がっていく。あの時に語った夢物語はどこに行ったの???

鳩山さんって悪く言うと使えない管理職。
彼が頭の中で考えてることは立派かもしれない。でも、その情報は彼の頭の中にしかないから、誰も協力も歩み寄りもできない。「私は○○したい!」と一言言えれば、協力してくれる人はいくらでも出てきただろうに。自分の仕事を自分一人でやって、その成果を一人占めしたいと思ってるから、結果として孤立する。

もうちょっと言うと
・ビジョンの可視化が下手
・自分の関心のある分野しか仕事をしない
・行動計画が立てられない
・現実のドロドロした部分に無頓着
・責任の所在を把握していない
・根回しが下手
・部下への仕事の割り振りが下手
・部下に指示が出せない
・部下に仕事が任せられない
・管理が苦手(人間関係の構築も苦手かも!?)
・報・連・相が苦手

うーん。悪口言ってごめんなさい。
でも、テレビで見ているだけで、鳩山さんと使えない管理職が重なってきちゃうんだよ。
基本は真面目でいい人だと思うんだけどね。お疲れさまです。

次の首相には、もうちょっと世渡り上手な人でもいいかな???

生まれ変わるかリクルート?

6000人退社、リクルート、3度目の正念場
http://bit.ly/c9Il1K (ソース:2010.05.31 日経新聞電子版)

センセーショナルな記事が飛び込んできた。ネタ元は日経新聞
何人かの人がブログで全文コピーをしているが、著作権をクリアできてる気がしないので、ここではリンクだけ。



一昨年末くらいから、早期退職者を募り始めたリクルート。段階的に人員を減らしてきたが、今回、早期退職&リストラという形でグループの1/4にあたる6000人を放出することになったとのこと。2009年度の決算説明会では、人材派遣部門の業績悪化が会社の適正な利益確保を阻害していると説明しているが、出版(リクルートの場合は情報産業部門とした方が正しい表記に思える)部門もかなりの苦境に立たされている。

なかの人の話では、近年、トーマツが株主となり、経営陣に相当の圧力をかけているらしい。外資系の投資家は企業利益、また投資に対する利益配当にかなりうるさいらしいのだが、仮にトーマツが株式を第三者に譲渡するようなことが起これば、リクルートには投資価値がないと市場に判断されるのと同様の効果があるようだ。だからこそ、経営陣は投資家の要求に全力で沿えるよう、社内の利益確保に奔走している。



リクルートと言えば、ベンチャー企業の先駆けとして、常に注目を浴びてきた会社だ。
新しいサービスをリリースすれば、スマッシュヒットを引き起こす。過去にはゼクシーとらばーゆホットペッパーR25など、数々の良質なコンテンツをユーザーに提供してきた。しかし、その陰では売上を上げるために、人的資源を最大限に活用した地道な「営業」活動をビジネスモデルの根幹としてきた。リクルートOB達が独立しても市場で勝ち抜いていけるのは、この「営業」で鍛えられたからに他ならない。

しかし、近年、ネットサービスの台頭により、人的リソースに頼らないビジネスモデルがたくさん出てきた。リクルートは知恵×労働力というモデルを最大限に活用し、高付加価値なサービスを提供してきたのだが、上記のようなビジネスモデルは知恵があれば、それ以上のコストをかけずに集客から売上に結びつけられる。

時代の移り変わりとともに労働集約型の泥臭い営業スタイルは廃れ、知識創造型産業がネットの世界を中心に活性化してきている。リクルートの今回のリストラは知識創造型産業への完全移行のためにダブついた労働力や仕事をリストラする経営判断なのだと僕は見ている。より少ない人数で、より効果的な収益を上げるROIの高いビジネスモデルへと移行していくのではないだろうか?

そうは言いながらも、このような仕事のやり方ができるのは、リクルートのようにブランドが確立され、様々なリソースを社内に持ち合わせている企業だからだと考える。昨日、今日、起業したような会社に同じようなことができるかと言えば、よっぽどのスマッシュコンテンツがなければ無理。独立したリクルートOBだって、会社を軌道に乗せるまでは、自分の知恵と労働力をフル稼働している。



話は変わるが、リクルートが6000人の社員を放出するとなると、中途採用市場は元リクルート社員で溢れかえる。採用市場では、早期退職組かリストラ組かは判別できないため、“腐ってもリクルート”というブランドで数々の内定を奪い去っていくことだろう。まあ、それはいいとして・・・。最近はリクルートOBの独立話を聞かないな。20代で市場と勝負しようという元気なヤツが出てこない。そんな風潮がリクルートの中に企業内の悪循環を作ってしまったのかもしれない。




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SIMロック解除という名の規制緩和を!

iPhoneがドコモで使えたらなぁ〜。
そんなことを考えながら、半年以上が経つ。



2010.05.26
総務省は携帯事業者にSIMロック解除の指針を通達

これで好きな携帯(僕の場合はiPhoneね)を好きなキャリアで使えるかも!?
なんて、心ときめいたんだけど、まだまだ道のりは険しい。

総務省SIMロック解除の指針を出したものの法制化というわけではなく、各携帯会社に努力してほしい、というお願い程度のものだった。案の定、既存のビジネスモデルで十分に成り立っている携帯各社は猛反発。ドコモやソフトバンクは善処すると回答しているものの、腹の底では否定的な見方が強い。

ということで、ユーザーがSiMロック解除の恩恵を受けれるのは、まだまだ先のことになりそうだ。



携帯市場には「キャリア」「メーカー」「コンテンツプロバイダー」「ショップ」「ユーザー」の五者がいる。
これらをとりまとめ、「ユーザー」にワンストップサービスを提供しているのが「キャリア」だ。「キャリア」はSIMロックをかけることで、「ユーザー」を囲い込みながらも、高度なサービスの提供、料金負担の軽減、不正利用の防止など、様々な「ユーザー」メリットを提供してきたと主張している。

んー。
まぁ、確かにドコモショップに行けば、どのメーカーの機種の故障でも対応してくれるし、i-modeみたいなネットワークサービスやお財布携帯なんて電子マネーまで便利に使わせてくれる。でも、料金が安いかどうかについては疑問を感じるところで、ドコモよりも後発のソフトバンクの方が価格競争の面では努力しているように感じる。

彼らがSIMロック解除に反対する大きな理由は何よりも現状の垂直統合型のビジネスモデルを維持したいからだ。
これまで携帯各社は上記の五者を取りまとめながら、一生懸命独自サービスに投資をしてきた。日本市場も、携帯電話は飽和状態にあるものの、1億3000万人が携帯を持つ時代ですから、業界が成熟期でも今後、一定の利益を獲得できることが目に見えている。やることやったんだから、これまでに投資したお金を回収せねば!というのが本音だと思う。

そして、次に危惧しているのがネットワークの問題。
ドコモはi-modeauはez-web、ソフトバンクYahoo!っていう独自のネットワークサービスを提供してきた。これを使う人は使うんだよね。SIMフリーにすると、自社のネットワークサービスのアクティブユーザーの動向を管理しきれなくなるリスクがあって、その結果、ネットワークがパンクする可能性があるそうだ。そんなことが起これば、同じ利用料を支払っているユーザー間の公平性を担保できないんだと。

また、各メーカーはキャリアごとにサービス対応するようにしてきたもんだから、1つの機種でドコモもauソフトバンクも・・・と同じように対応できる機種を作ろうとするとコストがかかり過ぎて、今よりも4〜5万円は機種代が値上がりするそうだ。(ちなみに現状ではauだけが通信方式が違うため、SIMフリーになっても、auの機種でドコモやソフトバンクの回線は使えません。ただ2010年以降、LTEという通信方式に移行していく過程で3社の通信方式の足並みが揃うらしい。)



でもね、なんだかんだ言ったって、既得権益を守りたいだけの言い訳にしか聞こえないんだよ。
各キャリアが垂直統合型のビジネスモデルを止めてSIMフリーを容認したら、海外からどんどん廉価な携帯電話が入ってくるよ。ノキアフィンランド)、モトローラアメリカ)、サムスン(韓国)、HTC(台湾)、ZTE(中国)などなど。グローバルスタンダードな携帯だって結構高品質なものが多い。日本メーカーの高機能携帯だって、外資携帯会社と価格競争しなけりゃいけないとなれば、自然と価格も値下がりしてくる。もともとSIMフリーということで使える機能を限定すれば、それなりの携帯電話がそれなりの価格で買えるのは目に見える。

日本メーカーも自分たちの意志によって携帯を作れる。パナソニックだったらLet's Note→Let's Mobileとか、東芝だったらdynabook→dynamobileとか、ソニーだったらVAIOVAIO MOBILEみたいに独自の機種が出てくるかも。Appleが作ったiPhoneだってそうでしょ。自分たちの作りたい機種を作って、年月をかけながら製品をブラッシュアップさせていく。そのうち、電機屋さんに携帯コーナーができて、ユーザーは気に入った携帯を購入して、キャリアのブースで回線の契約をする時代が来る。

もしかしたらDELLのようなビジネスモデルも現れるかもしれない。いくつかのデザインの中から自分の気に入ったスペックにカスタマイズして、自分だけのオリジナル携帯を作れるかもしれない。チャンスは電機メーカーだけじゃない。アパレルブランドなんかも採算があると見込めば参入してくるよ。外観だけデザインして、あとは全部OEM。今だって大半の携帯がMade in Chinaなんだから、通話とネットができる携帯なんてすぐできる。

コンテンツプロバイダーだって、SIMフリーの時代がくれば、wwwのような共通のフォーマットに乗っ取って、サービスを提供するようになる。その先駆けがAndroidだ。スマートフォンはまだまだ普及途上だけど、便利なソフトがいっぱいリリースされている。i-mode向けだとか、ez-web向けだという風にキャリアに依存しなければならない弱い立場だと、ソフトの開発コストがかかって仕方がないよね。携帯のOSがこれって決まれば、そこに経営資源を集中できる。

僕らユーザーは別にキャリアに一元管理してもらわなくても、自分の判断でキャリアもメーカーも選ぶし、その使い道も通話メインなのか、メールメインなのか、ネットメインなのか、工夫するんだ。だから、キャリアは自分たちの仕事に専念してくれればそれでいい。回線のキャパが心配なのであれば、メーカーやコンテンツの心配をしてないで、本業に集中すればいい。



現実には欧米などの諸外国を見ても3G回線の携帯にはSIMロックが容認されている実態がある。どちらにもメリット・デメリットがあるわけだから、今後の通信技術や通信規格の発展次第では、SIMフリーSIMロックの携帯電話が共存できる環境を作ればいいんじゃね?これからまだまだ時代が動く局面が来るわけだ。楽しみ〜!!!まだまだIT産業にはチャンスが眠ってそうだな。