SIMロック解除という名の規制緩和を!

iPhoneがドコモで使えたらなぁ〜。
そんなことを考えながら、半年以上が経つ。



2010.05.26
総務省は携帯事業者にSIMロック解除の指針を通達

これで好きな携帯(僕の場合はiPhoneね)を好きなキャリアで使えるかも!?
なんて、心ときめいたんだけど、まだまだ道のりは険しい。

総務省SIMロック解除の指針を出したものの法制化というわけではなく、各携帯会社に努力してほしい、というお願い程度のものだった。案の定、既存のビジネスモデルで十分に成り立っている携帯各社は猛反発。ドコモやソフトバンクは善処すると回答しているものの、腹の底では否定的な見方が強い。

ということで、ユーザーがSiMロック解除の恩恵を受けれるのは、まだまだ先のことになりそうだ。



携帯市場には「キャリア」「メーカー」「コンテンツプロバイダー」「ショップ」「ユーザー」の五者がいる。
これらをとりまとめ、「ユーザー」にワンストップサービスを提供しているのが「キャリア」だ。「キャリア」はSIMロックをかけることで、「ユーザー」を囲い込みながらも、高度なサービスの提供、料金負担の軽減、不正利用の防止など、様々な「ユーザー」メリットを提供してきたと主張している。

んー。
まぁ、確かにドコモショップに行けば、どのメーカーの機種の故障でも対応してくれるし、i-modeみたいなネットワークサービスやお財布携帯なんて電子マネーまで便利に使わせてくれる。でも、料金が安いかどうかについては疑問を感じるところで、ドコモよりも後発のソフトバンクの方が価格競争の面では努力しているように感じる。

彼らがSIMロック解除に反対する大きな理由は何よりも現状の垂直統合型のビジネスモデルを維持したいからだ。
これまで携帯各社は上記の五者を取りまとめながら、一生懸命独自サービスに投資をしてきた。日本市場も、携帯電話は飽和状態にあるものの、1億3000万人が携帯を持つ時代ですから、業界が成熟期でも今後、一定の利益を獲得できることが目に見えている。やることやったんだから、これまでに投資したお金を回収せねば!というのが本音だと思う。

そして、次に危惧しているのがネットワークの問題。
ドコモはi-modeauはez-web、ソフトバンクYahoo!っていう独自のネットワークサービスを提供してきた。これを使う人は使うんだよね。SIMフリーにすると、自社のネットワークサービスのアクティブユーザーの動向を管理しきれなくなるリスクがあって、その結果、ネットワークがパンクする可能性があるそうだ。そんなことが起これば、同じ利用料を支払っているユーザー間の公平性を担保できないんだと。

また、各メーカーはキャリアごとにサービス対応するようにしてきたもんだから、1つの機種でドコモもauソフトバンクも・・・と同じように対応できる機種を作ろうとするとコストがかかり過ぎて、今よりも4〜5万円は機種代が値上がりするそうだ。(ちなみに現状ではauだけが通信方式が違うため、SIMフリーになっても、auの機種でドコモやソフトバンクの回線は使えません。ただ2010年以降、LTEという通信方式に移行していく過程で3社の通信方式の足並みが揃うらしい。)



でもね、なんだかんだ言ったって、既得権益を守りたいだけの言い訳にしか聞こえないんだよ。
各キャリアが垂直統合型のビジネスモデルを止めてSIMフリーを容認したら、海外からどんどん廉価な携帯電話が入ってくるよ。ノキアフィンランド)、モトローラアメリカ)、サムスン(韓国)、HTC(台湾)、ZTE(中国)などなど。グローバルスタンダードな携帯だって結構高品質なものが多い。日本メーカーの高機能携帯だって、外資携帯会社と価格競争しなけりゃいけないとなれば、自然と価格も値下がりしてくる。もともとSIMフリーということで使える機能を限定すれば、それなりの携帯電話がそれなりの価格で買えるのは目に見える。

日本メーカーも自分たちの意志によって携帯を作れる。パナソニックだったらLet's Note→Let's Mobileとか、東芝だったらdynabook→dynamobileとか、ソニーだったらVAIOVAIO MOBILEみたいに独自の機種が出てくるかも。Appleが作ったiPhoneだってそうでしょ。自分たちの作りたい機種を作って、年月をかけながら製品をブラッシュアップさせていく。そのうち、電機屋さんに携帯コーナーができて、ユーザーは気に入った携帯を購入して、キャリアのブースで回線の契約をする時代が来る。

もしかしたらDELLのようなビジネスモデルも現れるかもしれない。いくつかのデザインの中から自分の気に入ったスペックにカスタマイズして、自分だけのオリジナル携帯を作れるかもしれない。チャンスは電機メーカーだけじゃない。アパレルブランドなんかも採算があると見込めば参入してくるよ。外観だけデザインして、あとは全部OEM。今だって大半の携帯がMade in Chinaなんだから、通話とネットができる携帯なんてすぐできる。

コンテンツプロバイダーだって、SIMフリーの時代がくれば、wwwのような共通のフォーマットに乗っ取って、サービスを提供するようになる。その先駆けがAndroidだ。スマートフォンはまだまだ普及途上だけど、便利なソフトがいっぱいリリースされている。i-mode向けだとか、ez-web向けだという風にキャリアに依存しなければならない弱い立場だと、ソフトの開発コストがかかって仕方がないよね。携帯のOSがこれって決まれば、そこに経営資源を集中できる。

僕らユーザーは別にキャリアに一元管理してもらわなくても、自分の判断でキャリアもメーカーも選ぶし、その使い道も通話メインなのか、メールメインなのか、ネットメインなのか、工夫するんだ。だから、キャリアは自分たちの仕事に専念してくれればそれでいい。回線のキャパが心配なのであれば、メーカーやコンテンツの心配をしてないで、本業に集中すればいい。



現実には欧米などの諸外国を見ても3G回線の携帯にはSIMロックが容認されている実態がある。どちらにもメリット・デメリットがあるわけだから、今後の通信技術や通信規格の発展次第では、SIMフリーSIMロックの携帯電話が共存できる環境を作ればいいんじゃね?これからまだまだ時代が動く局面が来るわけだ。楽しみ〜!!!まだまだIT産業にはチャンスが眠ってそうだな。