転職市場にある意外な盲点

昨日に引き続き、転職関連エントリー


転職活動における心構え
「転職市場は買い手市場である」
企業が採用のために開いている門戸よりも、転職(就職)を希望している人の方が圧倒的に多い。だから、1つの求人に対する競争倍率は相当高い。その高い壁を乗り越えて、企業に選ばれなければならないのが、今の転職市場だ。ある転職エージェントが某有名企業への応募一覧表を見せてくれた。掲載期間は既に3ヶ月。採用数1人に対して100人以上が応募している。これだけ応募者が殺到していても1人も内定が出ていない。実際、企業に採用の意向があるかどうか不明だ。

実はこのような事例は多々あるようだ。それは人材紹介会社の営業スタンスが密接に関わっている。人材紹介の基本的なビジネスモデルは転職希望者を集め、採用を希望する企業とマッチングすることで手数料を得る。かつて、その手数料は転職者の年収の30%〜40%程度であった。現在、市場が買い手市場のため、手数料を値下げせずにはいられない状況にあり、転職者の年収の20%〜25%程度まで下がっている。

また、企業戦略上、重要な採用活動で同業他社に非公開にしなければならない求人数が減っている。むしろ、一般の転職エージェントにこの手の仕事を依頼しなくなっている(世の中にはヘッドハンティングを行う会社が増えてるからね)。併せて、求人媒体が多様になったこと、自社HPからも応募があることなどを鑑みると、転職エージェントを通して人材を紹介してもらうメリットが薄らいでいるのだ。

そこで企業にとって都合のいい条件が整っている今のうちに求人票だけは送っておいて、もしいい人材が応募してきたら採用しようと考える企業が増えている。ただし、明日からでも働いてほしいと思って求人票を出している企業もあるので、どちらに応募すれば内定につながりやすいかを考えると明確である。




上記内容から見えてくることがある。各企業には採用意欲はあるのだけれど、できるだけいい人材を採用コストをかけずに採りたいという思惑だ。今回の転職活動でエージェントから送られてきた求人をネットで検索すると結構な確率で自社HPにも採用情報が載っていることがわかった。企業側の立場で考えたとき、エージェント経由でエントリーした応募者と自社HPからエントリーした応募者であれば、後者の方が採用コストが圧倒的に安い。

ここで一工夫行えれば書類通過の確率が高まる。例えば、某エージェントからエントリーを行う。併せてその企業のHPからも同内容の書類で応募をする。どちらの書類を採用するのかは企業側の意向で決められる。だから、エージェント経由のエントリーは落とされ、自社HP経由のエントリーは通過するなんてこともある。




また、求人情報をよく見ていると、どの業界が人手不足かうっすらとわかるようになってくる。今だと医療業界、IT業界などは積極的に求人が出ている。仮にあなたがこの転職活動でIT業界へ進みたいと希望していたとしよう。転職サービスではなかなかあなたが行きたいと思える求人が出てこない…と思っているとチャンスを逃すことになる。このようなサービスを使って採用窓口を広げている会社がある一方で同業他社は自社HPのみで採用を行っているところも多数ある。

実際にWeb関連のマーケティング会社の求人が増えたな…と感じていたところ、電通博報堂中途採用を行っていた。企業のスタンスによっては転職サービスを一切使わないところもある。だからこそ、あなたの転職活動では転職サービスからの情報だけに偏ってはいけない。その情報をもとに同業界の企業も同時に検索してみるべきだ。企業側は自社HPからの応募者を熱心な応募者と評価してくれる。それだけで一般の転職活動者よりも情報・機会で優位に立てる。


転職活動はルール無用の世界である。自分を売り込むための活動だから、どこか営業に似ている感じもある。顧客の新規開拓を行うときには常に新たな顧客はどこにいるのかアンテナを張っているはず。採用情報もどこにあるのかアンテナを張っていれば、意外な優良企業に出会うことができるんだ。